華南での日本人現地採用とは
■華南地方とは
華南地方は古くから華東地方とともに中国の2大経済圏として発展してきましたが、日本人の就職先としては必ずしも目立った存在ではありませんでした。華南地方に第一の拠点を置くのは既に香港に進出していた企業や、OA機器を中心とする組み立て加工型の製造業だけで、他業種の場合ほとんどはまず上海に第一の拠点を置きます。既に進出企業が多く、情報が手に入りやすいのが一番の理由でしょう。しかしながら、日系企業の上海への進出も一段落し、これから全国展開を考える企業が増えています。その場合にまず考えられるのが経済規模の大きな華南地方でしょう。
華南地方は経済規模が大きいのに加え、一人当たりのGNPでもかなり高くなっています。中心の広州市では一人当たりGNPは11000元で、中国の物価が日本より安い(食費は一日20元でも可能)ことを考えればほとんど先進国に近い状態です。さらに、貧富の差が激しいことから、お金持ちの数は日本の地方都市より多いです。したがって、中国を市場として見た場合も、華南地方は決して避けて通れないエリアといえましょう。
■華南地方の求人の特徴
このように、企業にとっては華南地方への進出のメリットは大きいようですが、お仕事をお探しの皆さんにとって、あえて華南地方で探すメリットは何でしょうか。華南地方と上海での求人はいくつか大きな違いがあります。
(1)管理職の求人が多い
図1は上海と深センでの求人の内訳を比べたものです。ご覧のように華南地方では管理職の求人が大変多くなっています。これは各企業で駐在員の数が少ないためと考えられます。日本人の場合、望むと望まざるとにかかわらず、企業の中で重要な位置を占める確率が高くなります。工場の場合は部下の数は何百人になることもあります。
(2)営業の求人が多い。
これは上海でも同じかもしれませんが、中国では営業の求人が多いです。営業が多いのは相手の企業の責任者が日本人であることが多いためです。バリバリの飛び込み営業からルートセールス、来た質問に対応するだけのものまでいろいろですので、自分の営業力に応じて選ぶことが出来ます。
(3)未経験可の仕事が多い。
華南地方では経験に対する要求が上海よりゆるくなります。これも日本人の求職者が少ないためと考えられます。日本では自分に回ってこない仕事でも、華南地方ではチャレンジできる可能性があります。
(4)中国人に囲まれることが多い。
中国人にとって日本人と仕事のできる確率は華南地方では低くなりますから、歓迎されることが多いでしょう。また、仕事をしながら中国語を学ぶ機会も多いと思われます。ぜひとも職場の中国人と日本語でも中国語でもよいので交流を深めてください。上海などでは逆に「また日本人が来た、いい加減に俺たちに任せてくれよ」と言う声が聞こえてきそうです。
一方で短所としては
(1)職種が限られる
日本企業の進出がある上海と比べて華南地方は製造業の中心が主でした。したがって、既に進出している業種は工場とそれに付随した貿易や物流などが多くなっています。特にサービス業系の進出はまだまだ上海に比べて遅れているのが実情です。したがって、例えば企画や開発などのクリエイティブ系の仕事はほとんど求人がありません。また、営業、技術、管理以外の求人は押しなべて上海より少なくなっています。
(2)通訳の確保が難しい
華南地方の中国人の日本語レベルは上海に比べると低いと言えます。したがって、専属の通訳をつける場合、そのレベルはあまり期待できません。さらにはタイムリーに通訳が来なくて仕事にならないことも華南地方では良くあります。中国語の要求は求人票では高くありませんが、中国語や筆談、ボディーランゲージに自信のない場合は出来なくても大丈夫か事前に確認が必要です。
以上のように、華南地方は上海と比べてその求人にかなりの違いが見られます。ご自身のご興味と照らし合わせて、最適な場所での就職活動をお勧めいたします。
ブルーネット人材:笹谷 浩之
図1